普段外出すると、ほぼ必ず目に飛び込むユニクロのサイン。ご多分に漏れず私も毎日何かしら着用しており、もはや国民服と呼んでも過言ではない。この度、ユニクロをプロデュースするファーストリテイリング社が、4月に開催されたSlush Asiaで注目したスタートアップに対してユニクロ賞を授与した。そして僭越ながら、私がこの表彰式の司会を務めることになった。
Slushで司会を経験したものの、今回は重役を交えての会合なので緊張感がさらに加わる。中でも、柳井正社長に直接報告している玉置肇CIO(最高情報責任者)が参加。僕のような大学生がこのような大役を担っていいかと戸惑いつつも、いつも愛用しているユニクロに関われる機会にふたつ返事で快諾した。
8時、東京ミッドタウン。忙しそうな関係者らがスタバのテーブルを占拠する光景ですぐに待ち合わせ場所が分かった。進行の脚本をもらうと、一連の流れを頭の中で再現しながら確認。もはや現場の緊張感で眠気が吹っ飛んだ。
いよいよ本社ビルの中へ。受付にはg.u.を含む所属ブランドのロゴが並び、スポンサーしている錦織圭選手のサイン入りポスターも飾ってあった。会議室に入ると備品のセットアップに取りかかる傍らで、進行の流れを何度も見直す。受賞するスタートアップの方々とも段取りを確認し、僕の脚本は多くの注意書きで埋められた。会場が整った頃には、僕の心の準備も万端だった。
英語による授賞式。ビジネスマンへの対応に配慮しながらも、Slushらしいワクワク感も盛り込んだ。お茶目な自分らしさを加えつつ、次のスピーカーに安心して橋渡しできるよう配慮に入れた。 そして観客の熱心な視線を集めたことに手応えを感じた。
登壇したスタートアップは自らの事業を紹介し、ユニクロとのコラボレーションを提案した。受賞者を紹介したい。
BAKE
スマホでオーダープリントのケーキを注文できるアプリ、PICTCakeを提供している。創業者の長沼真太郎さんが語る、家族経営のケーキ屋から振り返るケーキへの想いは必見だ。プレゼンが終わると、僕はこうまとめた:
The business sounds like a delicious idea, but the proposal is the icing on the cake.
美味しそうな事業アイデアに、コラボの提案がうまくケーキにトッピングされていますね。
会場に笑いが起こり、もはやビジネススーツの堅苦しさは緩んでいた。
Lifull FAM
なるべく多くの時間を子供と過ごせれば・・・そんな親ならではの気持ちから、シングルマザーの秋庭麻衣さんは家族とつなぐアプリ、Lifull FAMを作った。僕も子供を持つ頃にはぜひ使いたいと、会場の皆さんに推した。
Pocket Supernova
オオトリを飾るのは、スマホでプリクラのような動画が撮れるVideo Selfieだ。テレビ局のプロデューサーを務めたことのあるOscar Noriegaさんは、自身のアプリで個人動画の撮影が普及させることを狙っている。会社名をもじって「モバイル時代のBig Bang」と締めた。
全3社がピッチを終えると、玉置CIOの挨拶へ。常に次なる開拓を狙っているユニクロが積極的にスタートアップと関わろうとする姿勢に、ファンとしてますますユニクロに好印象を持った。最後に記念撮影に移ると、シャッター押しの話しネタが足りなかったことを反省した。それでも表彰式が無事に終わり、僕も爽快な安堵感と充実感に満ちた。
引き続き愛用者としてユニクロにお世話になる一方、スタートアップらの発展にも目が離せない。
PICTCake http://www.pictcake.jp/
Lifull Fam http://lifull-fam.com/
Video Selfie http://videoselfie.co/
ローランド リチャード
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