味を視覚化!?「味博士」こと鈴木隆一に直撃!

「チーズのうまみ成分が5倍!」などと謳う大手食品企業の広告が増えているが、そのデータを提供する「味博士」をご存知だろうか?テレビへの露出も増えている鈴木隆一さんは、これまで主観で評価されていた味覚を客観視できる研究を進め、これまでの常識を覆そうとしている。そんな味博士に味のイロハを教えてもらった。
 
大学時代はラーメン店を経営されてたそうですね。

近所に1日に5杯しか売れないようなラーメン屋の店長からお話をいただいたのがきっかけでした。学生をターゲットにこってりしたとんこつ醤油系のわりと濃い味のラーメンにモデルチェンジして、内装もおしゃれに黒を基調にした特徴のあるラーメン屋にしたのです。結局お店はあまりうまく行かなかったのですが、お客さんに味を一定に出すという難しさを知り、味についての興味も深まりました。
 
大学院卒業後に起業を選んだ理由は?

まず向き不向きで言えば自分は起業に向いているということ、味覚に関する今の事業計画が既にあったこと、そして時代が起業しやすい空気だったという3点です。とにかく大学院卒業までには絶対に起業することを目標に掲げて、ある程度勝てる事業プランを創り出しました。
最初の7、8ヶ月の準備期間はいろいろヒアリングやインタビューを行い、9ヶ月目でプロダクトができて始動し始めて、10ヶ月目くらいから売り上げが立ち始めました。2010年、2011年は結構テレビの露出も多くて問い合わせも結構定期的に入り、ある程度認知度が上がってきました。
 
事業の内容が味の可視化ですね。

ミシュランの審査員など食の評論家の味に対する評価ですが、やはりどうしてもその人の好みが反影されることは免れません。味を科学的に可視化することで客観的な立場から味覚を判断することが出来ます。将来的にAISSYの科学的なレストランレビューを出版する可能性もあるかもしれませんね。
 
美味しく感じられる味とは?

例えばコーヒーなど苦いものを飲んだ後にケーキを食べるとより甘さがくっきりと感じられるように、コントラストっていうのですが、味にバリエーションを付けた方がいいのです。つまり相性のよい食べ物と飲み物をうまく組み合わせることが大事です。また 味を揃えてあげないと片方の強い味が弱い味を消してしまうので、味の強さは揃えてあげる。例えば白ワインだったら白身魚のカルパッチョだったり、赤ワインだったらステーキ肉みたいな組み合わせとなります。
 
著書名が『日本人の味覚は世界一』ですが、その根拠は?

日本人の味覚は非常に鋭く食通の方も多いのですが、これは素材の味を引き立てる日本食のおかげなのです。欧米の食事は一般的に味が濃く脂っこいという特徴がありますが、これは人間の体にもよくないことです。味覚を正常にするという意識を持っていけるよう、弊社が食や味をプロデュースして海外に展開する事業も企画しています。
 
これから人間の味覚はどのように変わっていきますか?

例えば人間の嗅覚とか視力は退化しています。一方味覚はそもそも体に必要なものを選ぶために発達したのですが、この味覚が退化してしまったら、人間の平均寿命も下がるかもしれませんし、健康的な生活を送るのが難しくなるかもしれません。私の二冊目の著書『味覚力を鍛えれば病気にならない』ではこの点に関してちょっと啓発する内容になっています。


 
AISSYの展開を教えてください。

1つはグローバルですね。海外での味覚についての発信を増やしていくことを考えています。うちのビジネスというのはBtoBなので食品や飲料メーカーがクライアントなのですが、コンシューマーに対してもより味についての知見を出していきたいと思います。
 
最後に人生の中で影響を受けた本についてお聞かせください。
 


僕の中でほぼ確実なのは守屋淳さんの『最高の戦略教科書 孫子』です。どの経営戦略よりも経営を学べる本じゃないかなと個人的に思っています。原書を読むのは難しいのですが、これは超訳孫子みたいな本でわかりやすく解説しているのでお薦めです。
 

中学生の頃に読んだ司馬遼太郎さんの『竜馬がゆく』。起業する際の勉強になると思います。例えば経営者と一口に言っても、事業を新しく創りだす経営者とそれを管理する経営者が存在し、それぞれ違った能力が必要です。「龍馬がゆく」に関していうと、管理の部分はそんなに記述がないのですが、創造するという部分に関しては多く触れています。つまり龍馬はまさに亀山社中と海援隊というもので事業を新しく創りだしてしているのです。そういう意味では僕も創りだす側にいると言えます。
 

味覚の本を一冊入れておきますと、西田貞利さんの『動物の食に学ぶ』です。動物もそれぞれ違う味覚を持っています。例えばラットは砂糖よりも小麦の方が甘く感じたりするのです。それは生きていくのに必要な成分と関係していること、また消化の形が違うので好まれる食べ物が違うのです。人間の味蕾が1万であるのに対し、草食動物は味蕾が3万ほどあります。これは草に毒が入っているのを見極めるために長時間味わわなければいけないので、味蕾がたくさん必要なのです。

 
twoshot
鈴木隆一さんプロフィール

1982年、東京都生まれ。AISSY株式会社代表取締役社長、慶応義塾大学共同研究員。慶應義塾大学理工学部卒業、同大学院理工学研究科修了。卒業後に慶應義塾大学から出資を得てAISSY株式会社を設立。味覚や食べ合わせの研究を行い、メディアにも多数出演。通称「味博士」。(著書より抜粋)
 

(インタビューは2014年3月です。)


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ローランド リチャード

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1994年、東京生まれ。カナダと日本のハーフ。現在、慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス(SFC)に通っている。当サイト唯一の運営者。

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