「CoCo壱番屋」創業者・宗次徳二のカレーなる逆転人生とは?

「ココイチ」と親しまれ、今では日本のみならず米国や東アジアに浸透しているカレーハウスCoCo壱番屋。先週にはハウス食品グループの傘下に入った。創業者の宗次徳二さんが歩まれた波瀾万丈の人生に迫った。
 
どのような幼少期を過ごしましたか?

幼少期、私は今となっては一番の自慢なのだけれども、親を知りません。
3歳のころ、引き取り手の養母が私を施設からもらってくれたました。ところが、競輪にのめり込んで借金をして夜逃げをしました。そこから私の記憶が始まりますが、とんでもない生活でした。
生活保護をずっと受けていて、ギャンブル依存症は治らない。喧嘩早い父親で、お金を無心するような人でした。日雇いやりながら生活保護を受けて、 時々競輪で当ててもほとんどは無くなりました。だから食べるものもありません。家賃も払えないから追い出されて点々としていました。
唯一の家具が八百屋さんでもらったリンゴ用の木箱でした。そこにロウソクを立てて吸殻を置いておくのです。パチンコ屋に入ってはタバコの吸殻を1個でも多く拾ったり。それでもめちゃくちゃお父さん大好きでしたからね。
 
お父さんから学んだことはありますか?

耐えること。 だから今でも商売を休まなくても平気だし、人に喜ぶのなら細かいことでもしてあげたい。平々凡々と幼少期を送っていたら、人並みに休みを取って趣味多彩にもなっただろうけど、仕事一途にやってこられて良かったです。
 
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仕事が好きなんですね。

やはり仕事はおもしろいからです。努力すれば会社が少しずつ伸びていきます。決済を楽しみに1年間がんばる喜びに勝るものは無いでしょう。
食堂業でしたから先のことは考えず一生懸命働けばいいんです。現場主義で、お客様の喜ぶ顔を目の当たりにしたら分かります。だから、喫茶店経営から3年ぐらいでお客様からも好評だったカレーライスの専門店でいこうと決めました。
 
ココイチのカレーは好きなんですが、安くはないですね。

飲食業は薄利多売商法ができないと思っています。胃袋を満たせば良いのではなく、心を込めてお料理を出す気持ちが一番です。だから最初から安売りはしない。ラッキョウまでお金を頂くぞと。客単価800円以上するけれども、その単価以上の喜びを提供させていただいているという思いがあります。
 
どのように株式の公開に踏み込みましたか?

それまではお山の大将で決めてきました。でも喫茶店をはじめ25年、店舗数がちょうど500店舗になった50歳の時、いろんな意味で節目だなと思いました。上場の準備に掛かるうちに社長を交代しようと嫁に相談し、私は会長に嫁は社長になりました。
売り上げも伸びていくので、誰がやってもうまくいく経営状況だったのです。でも経営と資本を 分離したからこそ、社長に託すことができました。公開してから変わったことは良いことばかりです。業績もきちんと伴い、株主総会はファンの集いのようなものです。
 
ちなみにクラシック音楽がお好きだそうですが、のめり込んだきっかけは?

友達からテープレコーダーを譲り受けて、テレビの前でたまたま録音したのがNHK交響楽団のメンデルスゾーン。そこからクラシックが好きになりました。
喫茶店を始めた時は、バッハやヴィヴァルディなどのバロック音楽を1日中流していました。のちに自宅でサロンコンサートをやろうと思って、その延長線が今の音楽ホールです。
 
最後に、いつも心がけていることは?

感謝からくる優しさでしょうね。最初は身を粉にしてやるけれども、経営をしているとお客様をはじめ、関わる人が増えて社業が発展していきます。それを28年続けたら、とんでもないスケールの会社になったというだけです。自分たちの力ではなく、周りの人のおかげです。
だから今でも世のためにと思ってやっています。自分の欲求のためにお金と時間と体力を使っている場合ではないです。

ただ少しゴルフを始めてみたこともあります。ただ、経営者、特に創業者のやる遊びじゃないですね。(笑)
 
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宗次徳二

1948年、石川県生まれ。生まれて間もなく兵庫県の孤児院に預けられる。3歳になって、養父母に養子として引き取られる。64年に喫茶店をオープンさせる。68年、「CoCo壱番屋」の一号店がオープン。2007年 には私財を投じてクラシック音楽の普及を目的とした宗次ホールを建設。

(インタビューは2014年3月です。)


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ローランド リチャード

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1994年、東京生まれ。カナダと日本のハーフ。現在、慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス(SFC)に通っている。当サイト唯一の運営者。

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