初出場で準優勝!世界のプロも圧倒するジャグリング青年登場

休日の路上やサーカスで見かけるジャグリング。巧みな芸を簡単そうに披露しているが、費やす練習時間は並大抵ではない。ジャグリング界のほんの一握りの頂点に近づいている若者がいる。生方洋佑は初参加にもかかわらずジャグリングの世界大会で準優勝した。いつも大学のキャンパスで黙々と練習する姿を目にしているが、せっかくなので話を伺ってみた。

2015 IJA Championships Individuals

My performance at the IJA individuals championships.I tried to put everything I learnt through my past 4 years of juggling.世界大会の演技です。本番は筋肉痛に加えて舞台が極めて狭く、技を4つほど変更するなどかなり無茶を要求されましたが、集中力と精神的な余裕は維持する事に成功できました。やはり世界最高峰の舞台の一つだけあって、まず通常の練習ではありえぬ事がおきるという事を実感しました。ジャグリングを始めて4年、多くの人間を振り回しながらも悪あがきと分かっていながら一つの事だけはせめて形にしたいと心がけてきました、その集大成です。ジャグリングを始めてずっと過去4年間、この舞台だけを目標にしてきました、自分が学んできた事が世界でどこまで通じるのか、ようやくそれが試せた感じです。周りに比べて圧倒的に経験値が少ない中、仮に最下位であってもどんな結果になろうと受け止める覚悟でしたが、今まで応援してきた人達に”ごめんなさい”とは死んでも言いたくない、前日心の中で再確認したその思いが自分を強くしたくれた気がします。温かい目で最後まで見守ってもらえると嬉しいです。

Posted by Yosuke Ubukata on Sunday, August 16, 2015

 
ジャグリングに出会ったきっかけは?

ニュージーランド留学中に、必修だったジャグリングの授業でその存在を知りました。その中にコマを空中に回すディアボロがあって、最初はおもちゃのように見えました。その後、大学で世界チャンピオンの先輩に出会いました。彼の腕にかかるとただのブリキに魂が宿り、生きているように動くのです。
がむしゃらに練習しても到底太刀打ちできない世界には、ジャグリングの神様に愛された爆才たちで溢れかえっています。極めたいと切望してから4年後に世界大会に出場するとは、夢にも思いませんでした。
 
どのような大会ですか?

インターナショナルジャグラーズアソシエーション(IJA)が主催する「フェスティバル」ですが、ワークショップが開かれる体育館、地元にいくつもあるサーカス学校の学生と交流できるキャンパス、そしてメインステージがあります。このステージで目玉のチャンピオンシップが開催されます。
当日台風の影響で飛行機が3時間ほど遅れて結局ホテルについたのは夜の11時半。これから世界大会という緊張と時差のダブルパンチで、寝られませんでしたよ。
 

 
戦略を練ったりしましたか?

優勝者は13年の経験を持つなど出場者はみんなベテランなので、4年の経験値しかない私は圧倒的に不利でしたが、いわゆる頭脳戦においては誰にも負けない自信がありました。この世界大会に向けては、開催地のカナダでは珍しい、審査員にウケのいい技を逆算しました。初日体育館での練習中に人が寄ってきて「なんだその技は」と注目されました。
翌日は本大会とは別のエクストリームジャグリングコンペディション。自分が一番出来る技を披露して成功難易度を競い合います。 人前でのパフォーマンスに慣れるために出場しましたが、ディアボロ部門でベストメダルを取りました。

 
現地には世界を代表するプロが集まるわけですよね。

フェスティバルの期間中、 ディアボロの技世界記録保持者には圧倒されました。彼はシルク・デュ・ソレイユで異例の7年間も在籍し、世界一の安定感を持っています 。目を閉じながらでも問題ないでしょう。彼ができない自分の技を見せたら驚かれましたが、やはり極限に緊張する舞台で技を発揮できる彼には敵いません。
 
IMG_6357
 
さて、本大会はどうでしたか?

個人、ジュニア、チームの3部門あり、16歳以上の私は個人部門に出ました。大会が誇る68年の歴史の中で、初めて出場者全員が日本人。 みなさん全国大会レベルですから圧倒的に経験値が違うわけです。この大会の厳しいところは、使用する道具が違っても、プロ・アマ問わず一括に審査されるところです。
ライバル はディアボロ歴13年を持つ業界で有名な実力者。比べて私は4年の経験しかない無名ですが、練習会場で「化け物」だと思わせるほどプレッシャーを与えたみたいです。
 
どのような演技をしましたか?

決勝戦で相手はタップダンスとジャグリングを組み合わせた「ショー」を披露し、私は一時期学んでいた空手のフォームを組み込みました。ダンスだと思った人もいましたが、武術なんですね。その上、進撃の巨人のテーマソングとして知られる『紅蓮の弓矢』を選曲したので、ジャグリングに目の肥えた観客も大盛り上がりです。客席の中にはシルクの監督など業界の関係者も同席していて、大会後に声を掛けられました。
結果的には準優勝でしたが、優勝者の演技はノーミスの感動モノだったので、納得の銀メダルでした。大会時はお互いメラメラとライバル心旺盛でしたが、今度はピリピリしないで練習しましょうと交流しました。
 
今後の目標を聞かせてください。

シルクの舞台に立つのは名誉で一つの目標ですが、最終的には自分だけの世界を極め、ジャグリングを普及させていきたいです。単なるパフォーマンスではなく、子供や高齢者にも運動代わりに使える健康療法として進めるとか。
中国でも反射神経を刺激するために普及しているので、日本にも取りいれて行きたい。そのためにも、まずは腕を上げてエンターテインメントとしての完成度を高め、金を取りにリベンジしたいです。
 

生方洋佑
1991年、東京都生まれ。中学2年の頃、ニュージーランドで留学中にジャグリングと出会う。2015年度インターナショナルジャグラーズアソシエーション(IJA)チャンピオンシップ準優勝。2016年、慶応大学SFC卒業予定。

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ローランド リチャード

ローランド リチャード

1994年、東京生まれ。大学時代にリッキーレポートを始める。現在は会社勤めしている。 社会人生活を始めてから更新が途絶えるものの、また新しい記事を投稿したい思いを持っていた。

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