香港民主派デモを目撃!学生政治団体「ぼく1」の青木大和代表に訊く

高校時代、政治家と一緒に政策を考えて発表するイベントがあった。政治に興味があった僕にはもってこいの機会だったが、驚くことに主催者も高校生だったのだ。お互い大学生になり、今は主催団体「僕らの一歩で日本を変える」のリーダーを務める青木大和に再会することができた。

 

高校生の時にアメリカに留学しましたね。

中学3年生の時に留学機関の試験を受けて、高校に入ってすぐにアメリカに渡りました。

留学先には日本人が一人もいないような街で、珍しがられました。そのお陰で、小学校や中学、高校に講演に行かせていただく機会がありました。現地の学生には驚かされました。みんな、人の話を聞いていないのではないかと思ってしまうほどとにかくよく発言しますね。そこで思ったのは、小さいころから発言する文化があるのだな、ということです。

僕自身、それに対応するのは大変でした。英語力もそんなになかったので。でも、その1年間の留学は、勉強をするというよりは、色々な人と話すことでコミュニケーションを取ることを目的にしていました。

 

日本に帰って、元の生活に慣れましたか?

むしろ、帰国してから衝撃を受けました。政治経済の授業なんかで比べると、アメリカではオバマがどうとかマケインが何だという話になりますが、日本ではほとんど皆寝ていて。それを見た時に、とてもショックを受けました。

 

ではどうしてこのまま日本に残りましたか?

僕の友人は、僕が政治家を目指していることを知っていました。ある時、「僕はアメリカに行こうと思っている」という話をしたら、「こんなところでさえ踏ん張れなくて、アメリカに行ったとして、本当に政治を志して頑張れると思うのか」と言われハッとさせられました。

アメリカで政治家になろうとするとグリーンカードや国籍を取るというハードルが高く、選択肢としては日本しかない。将来的には日本の政治家になるのだからこそアメリカに逃げるのではなく、まずはここの環境から変えていかなければならないと思い、日本に留まる決意をしました。

 

最近の若者が政治に興味を持っているように見えませんが、青木さんはなぜ政治の道に進もうと思いましたか?

一つは、日本で誰もやっている人がいないからこそ、自分がやらなければいけないというような使命感に駆られているということです。

もう一つは、結局世界では政治が力を持っていて、政治によって左右されることが多々あります。それにも関わらず、日本の若者は諦めてしまっているという現実が問題なのではないかと思っています。なにしろ、この国は成熟しきっているからこそ、政治の事を考えなくても死んでいけるのです。

 

若者がいわゆる「平和ボケ」している現在の日本ですが、そんな中で青木さんは若者に政治参加を呼びかける「僕らの一歩が日本を変える」(以下、「ぼくいち」)という非営利政治団体を立ち上げました。どのように周りを巻き込んだのでしょうか?

高校3年生の時、高校生100人と国会議員が対談する企画を立ち上げました。国会議事堂の裏に全議員がおられる議員会館がありますが、そこで3ヶ月ほど毎日訪問しました。はじめはインターホンを押しても誰も出てきてくれませんでしたが、2週間ぐらい経つと「また来たのか」と話をしていただけるようになりました。そこは、日本人の良さだなと感じました。「粘り強いから応援してやるよ」と、10人ほど出てきてくださいました。

 

ずいぶん粘りましたね。

高校生にして、営業活動みたいなものでした。でも2回目からはとてもスムーズでした。1回目でテレビや新聞に多数取り上げられたからです。

 

今では「ぼくいち」はどのような活動をされていますか?

政治だけではなく、社会の体験活動を若い子に紹介や、広報をやっているメンバーもいます。

 

青木さんは先日、香港のデモを見に行ったそうですね。

とても刺激を受けました。それを見て、あれだけ多くの人を動かす組織力とマネージメント能力の高さに、純粋に感動と悔しさを覚えました。

日本と圧倒的に違うと思った事は、前向きな発信していること。日本では原発も「反対」、消費税も集団的自衛権も「反対」。しかし、香港のデモは、「民主化を勝ち取ろう」「普通選挙を勝ち取ろう」と主張しています。民主主義でないことに反対しているのではなくて、自分達の手でそれを勝ち取ろうという前向きなメッセージを発しているのです。

 

デモの結末はどう想定していますか?

僕は、何も変わらずに終わってしまうと思います。13億人の中国の習近平体制共産党政権で、絶対に切り崩せないようなところに10代・20代前半の若者達が戦っている。

現実的には厳しいと思うのに君たちはなぜ戦うのですか?と聞いたら、彼らはとても面白いことを言ってくれました。彼ら自身も勝ち取れるかどうか分からないし、正直現実的には難しいと思っている。しかし、あれだけの人が集まったというのが世界中のメディアで報道され、中国政府にとっては相当なプレッシャーになります。そんな中、政府と水面下で交渉が出来る。つまり、デモは盾として使っているだけだと。

彼らはそれを戦略的に狙っていると言っていたことに、とても感動しました。社会を変えるために、10代で世界をそこまで操り、世の中を動かしていくという姿勢に、震えました。

 

海外メディアではこれだけ取り上げられますが、日本国内では控えめですよね。

香港のデモは中国国内の問題であるにも関わらず、英語で発信して世界を味方にしています。それに対して、日本のデモでは英語で発信をしませんし、新たなデモ参加志願者に対して排除する傾向があるのです。日本のデモは、デモと呼ばないほうが良い。普段の鬱憤を晴らすための抗議活動です。

 

若い世代が日本の将来を担っていくわけですが、この世代には期待できますか?

僕自身、危惧はしています。今やりたいことの中で、投票年齢を20歳から18歳に下げたいことがあります。活動の一貫で、まだ選挙に行けない中高生に向けて、模擬選挙というのを行っているのですが、例えば16歳の子に話をしても「まだ4年後でしょ」と言います。それが18歳に下がると早い子は高校3年生で投票できるようになる。そのリアリティってとても大事だと思っています。また、高校の間は政治経済の勉強をしますが、大学生になると、勉強する子としない子に分かれますよね。だから18歳から20歳の2年間で政治に対する興味関心が無くなってしまう、ということはとても大きいと思います。

 

これからも若者の政治リテラシーを高める自信はありますか?

自信はあります!

 

最後に人生の中で影響を受けた本についてお聞かせください。

若者と社会との向き合い方について学びました。これから僕らが対峙していかないといけない大きな大きなものを見つめ返すきっかけとなりました。

 

自分自身の言葉、生き方を再定義させられた本。

 

仲間と組織、人生など全てを学びました。まさに教科書。

 

青木大和プロフィール

15歳にて単身渡米。米国の社会活動へ参加する中でオバマ選挙を目の当たりにする。

日本と米国の若者の社会参加、政治参加の差を実感し、帰国後「僕らの一歩が日本を変える。」を創設。新進気鋭の若手活動家として活動中。(ホームページより抜粋)

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ローランド リチャード

ローランド リチャード

1994年、東京生まれ。大学時代にリッキーレポートを始める。現在は会社勤めしている。 社会人生活を始めてから更新が途絶えるものの、また新しい記事を投稿したい思いを持っていた。

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