チェコと日本のハーフ早大生、岩澤直美「英会話教室で世界とリンク」

高校時代、福島で被災して東京に来た児童たちに英語を教えるボランティアをした際とてもやりがいを感じた。大学生になり周りに活動的な学生が増えたが、その中の1人、早稲田大学に通う知り合いが英会話教室を始めると聞いて気になっていた。チェコと日本のハーフである岩澤直美から、異文化交流ができる「Culmony」について伺うことができた。
 
Culmonyを始めたきっかけは?

ハンガリーから帰って日本の小学校に転入したとき異文化の衝突という原体験があります。保守的な田舎で、みな外国人を見たこともなく、ピアス・茶髪、よく発言する姿勢に困惑していました。お互いの文化や背景を理解しようと一人一人に「なんで?なんで?」と自分の頑固さを活かしてヒヤリングをしました。そのうち授業に留学生を呼んだり、お母さんと一緒に世界地図を使ってチェコについて紹介するワークショップなど開きました。そしたらみんなが「日本があって外国がある」という従来の発想から「世界の中の一つに日本がある」という考え方に転換していきました。そんな彼らが高校生なると「英語圏で留学したい」とか「国際関係を学びたい」という声が出てきました。
このように「世界の人々と共存する」という意識を小さい頃から根付かせることがいかに重要か気づきました。インターナショナルスクールもありますが、決して手頃な学費ではありません。最初の3ヶ月は無料で提供しようとネット上で有志から資金を集め、異文化交流の場を提供しようとCulmonyを始めました。
 
世界にはいろんな言語がありますが、なぜ英語にしましたか?

英語を含む言語はあくまでもツールなので、何語でも良かったですね。でも英語は世界の共通言語になりつつありますし、5年生から始めて中学・高校では必須科目ですし、これが3年生に引き下げられようと議論が起きている中で、英語に対して苦手意識を抱えている学生が国内で多いと実感していました。だったら楽しく英語を使う場所を増やすことで苦手意識による偏見をなくそうと思いました。
あとは「異文化交流教室」と呼んでもイメージが湧かず、なぜそのような交流が必要か理解してもらえないハードルがあります。なので英語を話せるようになることで通うための動機付けをしました。特徴としては、いろんな文化を紹介し、様々な国の留学生に来てもらい、その国の挨拶なども授業の一環として盛り入れています。
 
これまでにどこの国の留学生が来ましたか?

本当にいろんな国の留学生がいて、ヨーロッパ圏からはフランス、スペイン、ドイツ、ポーランドとかいれば、アメリカ、 メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、アジアの方にいくと韓国、中国、ベトナムとか。
元々は大学のつながりから引っ張ってきましたが、これからは留学生のコミュニティーにも知ってもらいたいです。
 
大人にも異文化を理解してもらえばいいのでは?

もちろん大人を対象としたワークショップなども開催しています。ただ将来的に活躍したり日本を変えるのはやっぱり今の子供たちです。時間はかかりますが、まず誰もが受けられる教育モデルを作り上げ、長期的に全体の底上げに繋げるつもりです。
 
日本の教育とはどのように違いますか?

グローバルの視野を持つ人材を育てるためには不十分です。学校では受験勉強のための英語を教えるので、暗記だけで終わってしまいます。教える文化もアメリカに偏っていて、生徒が覚えるのは文化より文法ですね。6年間勉強しても英語ができる自信を持つ人がいなのはとても不思議です。文部科学省の動きを待ってもじれったいので、今できることを自分で始めました。
 
Culmonyを始める上できっとチームワークが重要となりますが、仲間はどうやって集めましたか?

集まっていなかったです。

えっ、一人でできたの?

できちゃったのですが、やはり限界がありました。でもそうやって発信しているうちにTwitterやFacebookなどのSNSで興味を持った方々から声をかけてもらい協力を得ています。スタッフは合計すると10名弱くらいで、男性の人も女性の人もいます。今もスタッフ募集中です!
 
教室はどこを使っていますか?

場所は転々としています。あまり固定する意味がないかなと。幼稚園・保育園・デパートのイベントスペースなど、常に子供が集まながらも他文化交流が珍しい場所に出向いた方が多くの人たちに提供できて効率がいいです。
 
手応えはどうでしょうか?

今はトントンですね。来年度からCulmonyのコンテンツを導入していただく施設もいくつかあり、再来年には幼稚園や小学校など実際の教育現場に提供できるように、もっともっと大きく展開していこうと思っています。とりあえず今は実績を作って、より多くの人たちに声をもらいながら、カリキュラムやサービス自体を改善していきます。もはや教室よりは教育モデルとして全国展開したいです。
 
話を直美に移しますけど、海外に住んだ経験などは?

チェコで生まれて、ハンガリー、日本、ドイツの3カ国です。英語、日本語、ドイツ語、あとスペイン語とフランス語も少しなら話せます。元々小6まで日本語しか話せず、外国人の外見で英語ができるとまわりに思われたのが悔しかったです。ドイツに3年間行く機会がちょうどあって、英語とドイツ語を同時に習得したら自信がつきました。言語の勉強が好きになり、スペイン語とフランス語も始めました。あとチェコ語もおばあちゃんとしゃべる時に使っています。やはり人とのコミュニケーションが好きで、言語を学ぶたびに異文化を理解してきました。まだペラペラ話せるレベルでには至らないので、より頑張っていきたいです。
 
ハーフとして日本にいるのはどうですか?

私は自分を日本人だと思っていますが、別に扱われるたびに悔しく思います。日本は島国だから限界はあると思いますが、これからオリンピックも開催されますし、日本から海外へ行ったり来たりする人が必然的に増えます。なので異文化を理解したコミュニケーションをできる人が増える必要があります。
 
ヒアリングをしていた小学校の頃を振り返って、今の自分をどう思いますか?

成長はしたと思いますが、まだ全然満足できません。負けず嫌いで頑固なので、上へ這い上がらないといけない意識はあります。やっぱり人間として強くなりたいと。不安になる時もありますが、もっと自信をつけて覇気があるかっこいい人になりたいと思っています。
 
まるでマーガレット・サッチャーみたいですね。

そう言われたことはないけれど嬉しい。すごくかっこいいと思う。

鉄の女になってください。
 
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岩澤直美プロフィール

1995年、チェコ生まれ。高校の時に大阪ハンブルグ友好都市の親善大使に任命。現在早稲田大学の国際教養学部で学生をしながら英会話教室の「Culmony」を運営。

Culmony http://culmony.com

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Twitter https://twitter.com/naomoony

Blog http://naomoony.tumblr.com

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ローランド リチャード

ローランド リチャード

1994年、東京生まれ。大学時代にリッキーレポートを始める。現在は会社勤めしている。 社会人生活を始めてから更新が途絶えるものの、また新しい記事を投稿したい思いを持っていた。

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