i-mode夏野・元LINE森川ら集結!「失敗力」こそがベンチャーの生き残り策

起業家に必要な「失敗力」とは何か?i-modeの生みの親の夏野剛さんや、前LINE社長の森川亮さんなどITベンチャーの顔なじみの方々が、慶応大学の湘南藤沢キャンパス(SFC)のKBC実行委員会が主催した「Academia」に顔を揃えた。土曜日の遠出にも関わらず、会場は大学生たちが熱心に耳を傾けた。

登壇パネリスト
森川亮
元LINE株式会社代表取締役社長 CEO、C Channel株式会社 代表取締役社長
柳澤大輔
株式会社カヤック 代表取締役CEO
小島梨揮
株式会社ウィルゲート 代表取締役
廣川克也
慶応藤沢イノベーションビレッジ (SFC IV)  インキュベーションマネージャー

モデレーター
夏野剛
慶応大学 特別招聘教授、株式会社ドワンゴ取締役

 
夏野剛さん 今日は失敗に対して、いろんな話をしましょう。

廣川克也さん このキャンパスに慶応藤沢イノベーションビレッジ(SFC-IV)がありまして、ここにベンチャー企業が20社ほど入居しております。カヤックさんも昔入居して頂いたのですが、ここで学生のみなさんや慶応発ベンチャーをお手伝いするのが、僕の仕事です。SFCの卒業生には起業家の人がたくさんいるのです。失敗している人もいるし、いろいろな経験を積みながら自分のやりたいことをビジネスにして、社会から感謝されて、お金も儲かって非常に幸せな人生を送っている人もいます。
今日は失敗ということで最後に申しあげますと、皆さんがプロジェクトを始めるという時に、出発点があって準備をすると、すぐに成果が出ると思いがちです。ですがそんなことなく、ちゃんと観察をして仮説を立ててそれから準備をするということをしなければいけません。失敗と生存というのがあるのですが、失敗とは、成果をだすために必ず通る道なのです。 そこでがっかりしてやめるのではなく、頑張って生存しながら学習して結果を出すべきです。

経営に行き詰まって落ち込んだ時もある小島さん

経営に行き詰まって落ち込んだ時もある小島さん

小島梨揮さん 私は2004 年の高校3年生のときにネット通販の事業を始め、2006年にウィルゲートを立ち上げました。やっている事業としてSEO、つまり検索エンジンにクライアント様のサイトが上位に出るための技術支援から会社を始めました。今はウェブサイトのコンテンツを活かして展開しています。今10期目を迎えますので、10年弱、経営させていただいています。それまでに通ってきた道で、 学生と社会人との区別はないと自分の中では思っています。チャレンジすればなんだって出来るので、そのような出発をしていってほしいです。
私が18歳で会社を立ち上げて、最初から「行くぞ!」という勢いで 投資家の方達から1億円集めて一気に30人にまで拡大したのですが、大失敗しました。経験のある人たちに力を借りて、事業を拡大しようと採用を速めたのですが、「こんな会社入らなければ良かった」と社員から言われ、当然会社の業績もいいわけがなく、すごく落ち込みました。ただそんな中で仲間や株主の方々に支えられて、なんとか会社を立て直すことができました。結局何が重要だったのかというと、諦めない気持ちです。

柳澤大輔さん 一緒に創業した3人(貝畑、柳澤、久場)の頭文字を使って「カヤック」という名前にしたのですが、3人で「面白法人」を立ち上げるに至りました。今の社員数は200人ぐらいですが、実は結構長くてもう創業から17年経ちます。やっていることはすごくシンプルで、創業時からずっと、面白く働いて面白いモノを作るということを続けています。
今日のテーマが失敗ということですが、起業家が一番失敗しているのではないでしょうか。失敗しないと先に進めないですし。例えば、カヤックのかつての例で挙げると貧乏ゆすり。貧乏ゆすりを電力として有効利用できないかというプロジェクトをスタートしたんですが、貧乏ゆすりぐらいでは電力は溜まらないんです。それでリアルに万歩計のような「YUREX」というグッズを開発したんですが、原価が7000円のものを3000個作りまして、売れたのがわずか150個。おもちゃメーカーさん曰く、売れないおもちゃはどんなに頑張っても売れないのだそうです。そんな失敗事例もありました。

森川亮さん LINEをやめて先日新しい会社をオープンしました。これまで楽天やGoogleなどインターネット企業は個人や小さなお店を力づけたと思いますが、日本ではマスメディアがまだ強いです。僕は元々日本テレビにいたので、この世界を変えてみたいなと思い、今回はグローバルNO.1の企業を作りたくてこのプロジェクトを立ち上げました。
名前はC Chanelというのですが、Communication(コミュニケーション)のCから由来しています。現在のメディアはどうしても人口構成的におじさんが増えているので、どうしてもおじさん・おばさん向けのメディアになって、若者が共感しにくいのでこの状態を改善したいです。僕はテレビ局時代が長くて、地上波からケーブルの時代になった時にアメリカのMTVとかCNNみたいなブランドを持っているメディアが初めてできたと思います。今のメディアもそれに近いような流れがきているので、C Channelは昔のMTVの様なブランドを作って、そこから若いスターが生まれるようなメディアを作るつもりです。

 

そして、登壇者一同の対談がはじまった。テーマは「失敗力」。

廣川さん 僕は20年ぐらい前にもうちょっと無茶しとけばよかったと。

小島さん 自分の場合だと、起業の失敗と企業が成長していくにあたっての失敗2つですね。大学4年生の時は、他社の経営で活躍された大人の方が多い中で、経験のない若者として見られていました。全然信頼関係が作れず、30人いたスタッフが10人に減りまして。 気づいたら借金が1億もあって、株主からは「責任とれよ!」と。もう泥沼でしたね。通常は会社を成長させて株式の売却するところ、起業してすぐには返せないので、他の方にお金を借りました。本当に頭が上がらないです。
だれか大人に教えてもらえる訳でもないし、会社勤めもない。起業の経験がなかったので、いざ立ち上げると、何をやればいいのかわからない。そのうち業務とかを押し付けたりして、「人の気持ちが分かってない」と問題になり、信頼関係が築きにくかったです。当時はコミュニケーションが足りませんでした。初めて起業した時は辞めていく人が悪いと思いましたが、ビジョンや理念など共通の考え方がないと組織はそもそも成立しないです。

森川さん 何を失敗かと言うと難しいですが、学生時代ってそんなに大きな失敗はしないものです。僕は小さいころから音楽をやっていて、朝から夕方までスタジオで音楽活動をしていて、夜にバイトという生活を繰り返していました。音楽には自信があって、いろんな演奏をしていたのですけど、やりすぎて飽きちゃったんですよね。それから学んだことは「飽きるようなことはやらない」。もちろん、自分の得意なことをやるのも大事ですが、成功には長く続けるのが重要です。

お互いの経験に談笑。

お互いの経験に談笑。

夏野さん 逆に言うと成功って何ですかね。

森川さん 好きなことを好きな時にできるのが成功だと思います。

柳澤さん よく面接時に学生に対して「将来の夢やりたい事があるか? 」と質問します。目線が高い人が多いですが、実際は成功すると目標を見失ってしまうこともありうるので、その途中で少しでも進んでいる状態が幸せと感じます。

廣川さん ゴールがある状態ってすごく幸せでそれに向かっている時は充実していますね。 7月の試験が終わって夏休みがあるじゃないですか?「何をすればいいですか」と学生からよく相談を受けます。何したらいいじゃなくて、「夏休みが終わった時点でこういう自分になっていたいので、そのためにはどうすれば良いか」ということを考えるべきです。二か月間フラフラして夏休みが終わるっていう人は多いと思うので、みなさんに気をつけてほしいと思います。

夏野さん 聞いていて面白いのですけど、普通に成功って聞くとお金かな?昔から日本人って他の人と比べたがりますけど、この人たちはそんなことしない。既に失敗をしているので比較する人もいないのですが、それがここにいる人の本質なのかもしれないです。さて、失敗を恐れず挑戦する秘訣を教えてもらいたいですが、それはやってみないと分からないかな?

 

起業を目指す学生は何を訊いたのか。後編はこちら:


先人に「起業の極意」を授かる

学生団体KBC実行委員会  http://www.keio-contest.org/
C Channel http://www.cchan.tv/
面白法人カヤック http://www.kayac.com/
ウィルゲート http://www.willgate.co.jp/
SFC-IV  http://www.smrj.go.jp/incubation/sfc-iv/

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ローランド リチャード

ローランド リチャード

1994年、東京生まれ。大学時代にリッキーレポートを始める。現在は会社勤めしている。 社会人生活を始めてから更新が途絶えるものの、また新しい記事を投稿したい思いを持っていた。

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